片付けレスキュー
自治体のゴミ屋敷対策

豊島区のゴミ屋敷対策|建物等の適正管理条例の「管理不全」と「危険」の違い

片付けレスキュー編集部

豊島区には、ごみ屋敷だけを対象にした条例はありません。区は「豊島区建物等の適正な維持管理を推進する条例」(平成26年3月25日 豊島区条例第9号、平成26年7月1日施行)で、老朽化した建物や越境した竹木とあわせて、物が大量に堆積している状態や、ねずみ・衛生害虫等が大量に発生している状態を扱っています。

この記事では、区の例規集に掲載されている条例本文(令和8年3月25日 条例第13号による改正、令和8年4月1日施行を含む)と、区の公式ページを2026年11月5日に開いて確認した内容をもとに、豊島区の条例の特徴を整理しました。

この記事の要点

  • 「物が大量に堆積されている状態」「ねずみ又は衛生害虫等が大量に発生している状態」が「管理不全な状態」に含まれる。いずれも規則で定める基準を満たすものが対象
  • さらに、可燃物の投棄等による火災や犯罪を誘発するおそれ、衛生上の重大な障害がある場合は「危険な状態」となり、命令・代執行の対象になる
  • 勧告に正当な理由なく従わないときは公表ができる(命令の前でも公表の対象になる)
  • 基本方針で、所有者等の孤立などの事情を踏まえて福祉的な観点から支援を行うと定めている

1「管理不全な状態」と「危険な状態」で使える措置の違い

豊島区の条例は、適正な維持管理が行われていない状態を2段階に分けています。ごみの堆積に関係する部分を抜き出すと次のとおりです(第2条第8号・第9号)。

項目管理不全な状態危険な状態
ごみ屋敷に関係する状態物が大量に堆積されている状態(オ)、ねずみ・衛生害虫等が大量に発生している状態(カ)オの状態で、可燃物の投棄等による火災または不特定の者の出入りによる犯罪を誘発するおそれがある状態。カの状態で、衛生上有害な事実が地域住民の生活の保全に重大な障害を発生させている状態
使える措置助言(第6条)、指導・勧告(第7条)、勧告に従わないときの公表(第9条)左の措置に加え、命令(第8条)、代執行(第9条の2)、緊急安全措置(第11条)
審議会—命令と代執行の前に、豊島区建物等適正管理審議会の意見を聴く(第8条第2項・第9条の2第2項)

どちらの状態も「規則で定める基準を満たすもの」とされています。基準の内容は条例の施行規則で定められています。

2豊島区の条例の概要

名称豊島区建物等の適正な維持管理を推進する条例(平成26年3月25日 豊島区条例第9号)
施行・改正平成26年7月1日施行。平成29年12月6日 条例第47号(平成30年4月1日施行)、令和8年3月25日 条例第13号(令和8年4月1日施行)などで改正
建物等建築物とその敷地、空地、竹木その他の土地の定着物。空家等対策の推進に関する特別措置法の空家等は除く(第2条第4号)
所有者等建物等を所有する者、管理する者または占有する者(第2条第6号)
基本方針原則として所有者等が自ら速やかに解消する。所有者等だけでは解消が著しく困難なときは区と区民等が協力する。区は孤立などの事情を踏まえ福祉的な観点から支援を行う(第3条)
審議会豊島区建物等適正管理審議会。委員7人以内、学識経験者その他区長が適当と認める者から区長が委嘱(第9条の3・第9条の5)
罰則条例本文に罰金・過料の規定はありません

区長は、適正な維持管理が行われていない状態の建物等の情報を集め、台帳等に記録します(第4条)。改善に必要なときは、警察署・消防署などの関係機関に協力を求めることもできます。

3調査から代執行までの流れ

条例本文の規定を、調査から順に並べると次のとおりです。

01調査

適正な維持管理が行われていない疑いがあるときは、所有者等への質問、実態調査、資料の提供の求めができます。立ち入れるのは敷地と空地で、建築物の中は所有者等の同意を得た場合に限られます(第5条)。

02助言・指導

改善に必要な措置について助言し、解消のための措置や対策をとるよう指導できます(第6条・第7条第1項)。

03勧告

指導に従わないときは、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告できます(第7条第2項)。

04公表

勧告に正当な理由なく従わないときは、住所・氏名、建物等の所在地、勧告の内容などを公表できます。公表の前に意見を述べる機会を与えます(第9条)。

05命令

危険な状態であると認めるときは、履行期限を定めて改善の措置を命じることができます。所有者等に意見を述べる機会を与え、審議会の意見を聴きます。命令をしたときは標識の設置などで公示します(第8条)。

06代執行

命じた措置が履行されないなどの場合で、ほかの手段で確保することが困難かつ放置が著しく公益に反するときは、審議会の意見を聴いたうえで行政代執行法により代執行できます(第9条の2)。

4支援と緊急安全措置

改善の意思がある人への支援

所有者等に、助言・勧告・命令に対する改善の措置を行う意思があると認めるときは、区長が認める必要な支援を行うことができます(第10条)。支援の内容や費用の扱いは条例本文には書かれていません。

緊急安全措置

危険な状態が放置され、不特定の者の生命・身体・財産に被害を与えるおそれがあるときは、所有者等の意思に反しない限り、必要最低限度の措置をとれます。実施後は遅滞なく内容を通知します(第11条第1項・第2項)。

緊急安全措置の費用

緊急安全措置で生じた費用は、民法第702条にもとづいて所有者等に償還を請求すると定めています(第11条第3項)。

5相談窓口

豊島区 建築課 監察グループ

豊島区役所6階、電話 03-3981-9503。区の「空き家に関する相談支援・セミナー」のページで、空き家の適正管理や放置空き家の相談窓口として案内されています。

豊島区役所コールセンター

電話 03-3981-1111。2026年11月5日の時点で、人が住んでいる建物のごみの堆積について担当課を示した区のページは見つかりませんでした。条例名を伝えて担当課を確認してください。

条例の基本方針では、所有者等だけでは解消が著しく困難なとき、区が区民等と協力して取り組むとしています(第3条第2号)。

業者に依頼する場合の許可の確かめ方は片付け業者の許可の確認方法、無料回収をうたう業者への注意点は「無料回収」の注意点で解説しています。条例のある他の自治体との違いはゴミ屋敷の条例と自治体の相談窓口にまとめています。

6よくある質問

Q. 豊島区にはごみ屋敷の条例がありますか。

A. ごみ屋敷だけの条例はありません。「豊島区建物等の適正な維持管理を推進する条例」で、物の大量の堆積やねずみ・衛生害虫等の大量発生を「管理不全な状態」として扱っています(第2条第8号)。

Q. 人が住んでいる家も対象ですか。

A. 条例の「建物等」は建築物とその敷地などで、空家等対策の推進に関する特別措置法の空家等を除くと定めています(第2条第4号)。人が住んでいる建物は対象に含まれます。

Q. 勧告に従わないとどうなりますか。

A. 正当な理由なく勧告に従わないときは、住所・氏名などを公表できます(第9条)。命令と代執行は「危険な状態」に限られます(第8条・第9条の2)。

Q. 豊島区の条例に罰則はありますか。

A. 条例本文に罰金・過料の規定はありません。公表・命令・代執行の規定があります。

7出典・参考にした公式情報

本記事の制度・窓口の記述は、以下の公式情報にもとづいています。

本記事は、豊島区の条例本文を2026年11月5日に確認した内容にもとづく一般的な情報です。区の例規集は年4回程度の更新で、最新の内容でない可能性があると案内されています。個別の事案への対応は区の担当窓口が判断します。