片付けレスキュー
自治体のゴミ屋敷対策

品川区のゴミ屋敷対策|空き家と同じ条例で扱う「特定非空家等」の基準と流れ

片付けレスキュー編集部

品川区には、ごみ屋敷だけを対象にした条例はありません。区は「品川区空家等および非空家等の適正管理等に関する条例」(平成26年11月25日 条例第43号、平成27年4月1日施行)で、空き家と、空き家以外の建物・敷地・空き地(非空家等)をあわせて扱っています。令和6年10月28日の改正(条例第46号)で題名が現在のものになりました。

人が住んでいる住宅のごみ屋敷は、このうち「非空家等」が廃棄物等に起因する管理不全状態にある「特定非空家等」に当たるかどうかで判断されます。この記事では、区の例規集の条例本文と、区の「品川区の空き家対策」のページ、区が公開している「特定非空家等」の判断基準を2026年11月4日に開いて確認した内容をもとに整理しました。

この記事の要点

  • 空き家以外の建物とその敷地・空き地が「非空家等」。放置された廃棄物による火災・飛散のおそれや、悪臭・ねずみ・害虫、草木の著しい繁茂などで周辺に著しい障害がある状態が「特定非空家等」
  • 区の判断基準では、建物内部の床の2分の1以上が覆われている、管理不全が半年以上続いている、などの例を挙げている
  • 助言・指導、勧告、命令、代執行の順。命令の前には意見書の提出や公開による意見の聴取の機会があり、命令をすると標識の設置などで公示する
  • 区の問い合わせ先は都市環境部住宅課 空き家対策担当(03-5742-3856)

1空家等と非空家等の違い

条例は、対象を「空家等」と「非空家等」に分け、それぞれ別の条文で措置を定めています。ごみ屋敷に関係するのは主に非空家等の規定です。

項目空家等非空家等(ごみ屋敷を含む)
定義空家等対策の推進に関する特別措置法に規定する空家等(第2条第1号)空家等以外の建築物とその敷地、空き地。国・地方公共団体の所有・管理するものを除く(第2条第5号)
措置の対象になる状態特定空家等・管理不全空家等(同法の基準)特定非空家等=廃棄物等に起因する管理不全状態にあると認められる非空家等(第2条第6号・第9号)
根拠空家等対策の推進に関する特別措置法と条例条例(第10条〜第12条)
認定特定空家等・管理不全空家等として認定(第7条)特定非空家等として認定(第11条)。認定の前に審議会の意見を聴く(第15条第2項)

2品川区の条例の概要

名称品川区空家等および非空家等の適正管理等に関する条例(平成26年11月25日 条例第43号)
施行平成27年4月1日。令和6年10月28日 条例第46号による改正は公布の日から施行(付則)
廃棄物等に起因する管理不全状態みだりに放置された廃棄物による火災発生・飛散のおそれ、または放置廃棄物による悪臭・ねずみ・害虫等の発生や草木の著しい繁茂・枯死により、周辺住民の生活環境に著しい障害を及ぼす(おそれがある)状態(第2条第9号)
所有者等の責務周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理し、管理不全状態になったときは解消と再発防止に努める(第4条)
審議会品川区空家等および非空家等適正管理審議会。認定・勧告・代執行の前に区長が意見を聴く。委員16人以内(第15条)
罰則条例本文に、罰金や過料の規定はありません

区長は空家等および非空家等の対策計画を定めて公表するとしており(第2条の2)、区のページでは平成30年度に策定し、令和5年度に中間見直しを行ったと説明しています。区民等には、近隣の区民等と協力して、非空家等が特定非空家等にならないよう努めることを求めています(第5条)。

3「特定非空家等」の判断基準の例

区は「特定非空家等」の判断基準を公開しており、基準を基に総合的に判断して認定するとしています。基準に挙げられている例の一部は次のとおりです。

「不要物」の考え方

社会通念上、利用や譲渡が難しい物を不要物とし、例として、おおむね半年使用した形跡がない、機能が損なわれて使用する見込みがない、他人が捨てた物を集めておおむね半年山積みにしている、などを挙げています。

堆積・散乱の程度

建物内部の床の2分の1以上が覆われている、敷地内の空地の過半を埋め尽くしている、敷地外へはみ出している、道路から玄関までの通行が困難、通常のごみ収集では対応できない、などの例があります。

悪臭・害虫等

悪臭は、複数の者が敷地境界で臭気を確認し、過半が悪臭ありと感じた場合に悪臭ありと判定し、気象条件等を考慮して複数日実施するとしています。動物等にはシロアリ・ハエ・蚊・ノミ・ゴキブリ等の害虫も含みます。

周辺への影響と所有者等の状況

周辺住民や通行人からの陳情・苦情、町会・自治会からの相談・要望、現地調査の時点から管理不全状態が半年以上継続している、区や町会・自治会との対話や改善を拒否する、などの例を挙げています。

4相談から解消までの流れ

非空家等についての条文(第10条〜第12条)を順に並べると次のとおりです。

01調査・立入調査

非空家等の所在や所有者等を把握するための調査ができます。立入調査の5日前までに所有者等に通知します(通知が困難なときを除く)(第10条)。

02特定非空家等の認定

廃棄物等に起因する管理不全状態にあると認められるときは、特定非空家等として認定できます。認定の前に審議会の意見を聴きます(第11条・第15条第2項)。

03助言・指導、勧告

所有者等に管理不全状態を解消するよう助言・指導し、改善されないときは相当の猶予期限を付けて勧告できます(第12条第1項・第2項)。

04命令と意見の聴取

正当な理由なく勧告に従わず特に必要があるときは、猶予期限を付けて命令できます。命令の前に通知書を交付して意見書の提出の機会を与え、請求があれば公開による意見の聴取を行います(第12条第3項〜第8項)。

05標識の設置と公示

命令をしたときは、標識の設置などの方法でその旨を公示します。標識は特定非空家等に設置でき、所有者等は設置を拒んだり妨げたりしてはなりません(第12条第12項・第13項)。

06代執行

命令が履行されないときは行政代執行法による代執行ができます。命令すべき人を過失なく確知できないときは、事前に公告したうえで区が措置を行うことができます(第12条第9項・第10項)。

5費用と緊急安全措置

代執行・略式の措置の費用

命令すべき人を確知できないときに区が行う措置は、その人の負担で行い、費用の徴収には行政代執行法第5条・第6条を準用します(第12条第10項・第11項)。

緊急安全措置

人の生命・身体・財産に危害が及ぶことを避けるため緊急の必要があるときは、所有者等の負担で必要最小限の措置ができます。措置の後は所在地と内容を所有者等に通知します(第12条の2)。

区の支援

区長は、空家等や非空家等の所有者等に対し、適正に管理するために必要な支援ができると定めています(第13条)。支援の内容は条例本文には具体的に書かれていないため、区に確認してください。

6相談窓口

都市環境部 住宅課 空き家対策担当

区の「品川区の空き家対策」のページの問い合わせ先。〒140-8715 品川区広町2-1-36、電話 03-5742-3856、ファクス 03-5742-6963。条例と特定非空家等の判断基準もこのページに掲載されています。

空き家ホットライン

同じページで案内している、近隣の空き家の悩みの相談窓口(区の委託先の株式会社品川都市整備公社が受付)。電話 03-3450-4988、月〜金曜の午前9時〜午後5時(祝日・年末年始を除く)。対象は空き家の相談です。

人が住んでいる住宅のごみ屋敷について、区のページに専用の相談窓口の記載はありませんでした。条例の担当である住宅課 空き家対策担当に問い合わせてください。

業者に依頼する場合の許可の確かめ方は片付け業者の許可の確認方法、無料回収をうたう業者への注意点は「無料回収」の注意点で解説しています。条例のある他の自治体との違いはゴミ屋敷の条例と自治体の相談窓口にまとめています。

7よくある質問

Q. 品川区にゴミ屋敷の条例はありますか。

A. ごみ屋敷だけを対象にした条例はなく、「品川区空家等および非空家等の適正管理等に関する条例」で、人が住む建物を含む非空家等の廃棄物による管理不全状態を扱っています。

Q. どのような状態が「特定非空家等」になりますか。

A. 放置された廃棄物による火災・飛散のおそれや、悪臭・ねずみ・害虫、草木の著しい繁茂などで周辺に著しい障害がある状態です。区の判断基準では、建物内部の床の2分の1以上が覆われているなどの例を挙げ、総合的に判断するとしています。

Q. 命令を受けるとどうなりますか。

A. 命令の前に意見書の提出や公開による意見の聴取の機会があります。命令をしたときは標識の設置などで公示し、履行されない場合は代執行ができます(第12条)。

Q. 品川区の条例に罰則はありますか。

A. 条例本文に罰金や過料の規定はありません。

8出典・参考にした公式情報

本記事の制度・窓口の記述は、以下の公式情報にもとづいています。

本記事は、品川区の条例本文と公式ページを2026年11月4日に確認した内容にもとづく一般的な情報です。個別の事案への対応は、区の担当窓口が状況に応じて判断します。制度や窓口は変わることがあるため、必ず品川区の最新の案内をご確認ください。