片付けレスキュー
自治体のゴミ屋敷対策

足立区のゴミ屋敷対策|条例の「委託」と「支援」の違い・審議会・対応状況

片付けレスキュー編集部

足立区は「足立区生活環境の保全に関する条例」(平成24年10月25日 足立区条例第39号)を定め、平成25年1月1日から施行しています。区はこの条例にもとづいて、いわゆるごみ屋敷の改善に取り組んでいます。

この記事では、区のサイトに掲載されている条例本文と施行規則(PDF)、「足立区のごみ屋敷対策事業」のページ、「ごみ屋敷等の対応状況について」(令和8年3月末日現在の資料)を2026年11月5日に開いて確認した内容をもとに、足立区の条例の特徴を整理しました。

この記事の要点

  • 対象は、適正に管理されていない廃棄物、繁茂した雑草・樹木により、周辺住民の健康を害し、生活環境に著しい障害を及ぼす(おそれがある)「不良な状態」。施行規則で害虫・ねずみ、臭気、放火等の温床となるおそれなどを挙げている
  • 所有者等は不良な状態の解消を区長に「委託」できる(費用は委託料として本人が納める)。自ら解消するのが困難なときは、審議会の意見を聴いたうえで区が「支援」を行える
  • 命令・代執行・支援の前には、弁護士・医師などで構成する足立区生活環境保全審議会の意見を聴く
  • 相談先は環境部 生活環境保全課(03-3880-5410)。自宅がごみであふれて困っている本人からの相談も受け付けている

1区に頼める「委託」と「支援」の違い

足立区の条例は、所有者等が区に片付けを任せる「委託」(第10条)と、自ら解消するのが困難な人への「支援」(第11条)を別の条文で定めています。施行規則と区の資料で確認できた違いは次のとおりです。

項目委託(第10条)支援(第11条)
始まり方所有者等からの申出にもとづき、区が不良な状態の解消を受託して行う(規則第7条)区長が、所有者等が自ら不良な状態を解消することが困難であると認めるとき(第11条第1項)
費用受託後に委託料を納める。委託料は不良な状態の解消に要する費用の額。雑草の除去の委託料は区長が別に定め告示する(規則第8条)区が直接片付ける支援と、片付けに協力する団体等への支援がある(規則第9条)。区の資料には支援の対象となる種目と限度が示されている
審議会規定なし支援を行う前に審議会の意見を聴く(第11条第2項)
区のページの説明—「所有者等が改善に同意」「改善のための費用負担が困難」「審議会が必要と認める」場合に実施すると案内している

区の資料では、町会・自治会やNPOなどが片付けに協力する場合の謝礼金と、区が直接実施する支援(雑草の除去、樹木の剪定・伐採・処分、廃棄物の処分等)の限度額が示されています。金額は区の資料(出典欄)で確認してください。

2足立区の条例の概要

名称足立区生活環境の保全に関する条例(平成24年10月25日 足立区条例第39号)
施行平成25年1月1日(付則)。施行規則(平成24年11月30日 足立区規則第76号)も同日施行
対象区内の土地・建築物。所有者等=土地・建築物を所有し、占有し、または管理する者(第2条第1号)
不良な状態適正な管理がされていない廃棄物、繁茂した雑草または樹木により、周辺住民の健康を害し、生活環境に著しい障害を及ぼし、またはそのおそれがある状態(第2条第3号)
規則の基準ごきぶり・はえ等の害虫やねずみの発生、廃棄物に起因する臭気、放火等の温床となるおそれ、その他区長が著しい障害と認める状態(規則第2条第2項)
審議会足立区生活環境保全審議会。委員13人以内(弁護士・医師・学識経験者・町会自治会連合会役員・民生児童委員役員・まちづくり推進委員・社会福祉協議会職員・区職員6人以内)(第13条・規則第10条)
罰則条例本文に罰金・過料の規定はありません。命令に従わない場合の公表と代執行の規定があります(第8条・第9条)

不良な状態に当たらない場合でも、周辺住民の健康を害し、生活環境に著しい障害を及ぼす(おそれがある)ときは、区長が別に定めるところにより不良な状態に準じて条例を適用すると定めています(第17条)。

3調査・指導から代執行までの流れ

条例と施行規則の規定を、調査から順に並べると次のとおりです。

01調査

土地等が不良な状態にあると認めるときは、職員が立ち入って調査し、関係人に質問できます。職員は身分証明書を携帯し、請求があれば提示します(第5条)。

02指導

所有者等に、不良な状態を解消するための指導を指導書で行います(第6条第1項・規則第3条)。

03勧告

指導をしても不良な状態が続くときは、期限を定めて措置をとるよう勧告書で勧告します(第6条第2項・規則第4条)。

04命令

勧告をしても不良な状態が続くときは、期限を定めて措置を命じることができます。命令の前に審議会の意見を聴きます(第7条)。

05公表

命令を受けた人が正当な理由なく従わないときは、住所・氏名、土地等の所在地、命令の内容を公表できます。公表の前に、公表前弁明機会通知書で意見を述べる機会を与えます(第8条・規則第6条)。

06代執行

ほかの手段で履行を確保することが困難で、放置が著しく公益に反するときは、審議会の意見を聴いたうえで行政代執行法により代執行し、費用を義務者から徴収できます(第9条)。

4相談・解決の件数と対策中の件数(令和8年3月末日現在)

区が公開している「ごみ屋敷等の対応状況について」の数字です。樹木の越境などの相談も条例の対象として集計されています。

区分受付・解決の累計(平成24年度〜令和7年度)令和8年3月末日現在で対策中
ごみ屋敷受付416件・解決385件(解決率92.5%)31件(すべて指導の段階)
樹木受付964件・解決958件(解決率99.3%)6件(すべて指導の段階)
その他受付148件・解決148件0件
計受付1,528件・解決1,491件(解決率97.5%)37件。勧告・命令の段階は0件

条例制定後の累計で、区による支援の実施は10件(ごみ片付け5件、樹木伐採2件、複合案件3件)、協力団体への謝礼は9件と資料に記載されています。

5相談窓口

足立区 環境部 生活環境保全課 ごみ屋敷対策係

足立区役所 南館11階。電話 03-3880-5410(8時30分〜17時15分、土日祝日を除く)。区のページでは「足立区オンライン申請システム」からの相談も案内しています。

区のページでは、近隣のごみ屋敷や樹木の越境で困っている人だけでなく、自宅がごみや荷物であふれて困っている本人にも、生活環境保全課への相談を呼びかけています。粗大ごみの出し方や区内で頼める業者は、足立区のエリアページにまとめています。

業者に依頼する場合の許可の確かめ方は片付け業者の許可の確認方法、無料回収をうたう業者への注意点は「無料回収」の注意点で解説しています。条例のある他の自治体との違いはゴミ屋敷の条例と自治体の相談窓口にまとめています。

6よくある質問

Q. 足立区に片付けを任せることはできますか。

A. 条例では、所有者等は不良な状態の解消を区長に委託できると定めています(第10条)。施行規則では、受託された後に、解消に要する費用の額を委託料として納めることになっています(規則第8条)。

Q. 費用を払えない場合はどうなりますか。

A. 自ら解消することが困難と区長が認めるときは、審議会の意見を聴いたうえで支援を行えます(第11条)。区のページでは、改善への同意、費用負担が困難であること、審議会が必要と認めることを条件として案内しています。

Q. 足立区の条例は樹木や雑草も対象ですか。

A. はい。不良な状態には、適正に管理されていない廃棄物のほか、繁茂した雑草や樹木によるものも含まれます(第2条第3号)。区の対応状況の資料でも、樹木の相談が件数の多くを占めています。

Q. 足立区の条例に罰則はありますか。

A. 条例本文に罰金・過料の規定はありません。命令に従わないときの公表(第8条)と代執行(第9条)の規定があります。

7出典・参考にした公式情報

本記事の制度・窓口の記述は、以下の公式情報にもとづいています。

本記事は、足立区の条例本文と公式資料を2026年11月5日に確認した内容にもとづく一般的な情報です。区のサイトに掲載された条例本文(PDF)は制定時のもので、その後の改正の有無は区にご確認ください。個別の事案への対応は区の担当窓口が判断します。