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家族が亡くなった後の手続きと遺品整理の順番|期限のある届出と片付けを始める時期

片付けレスキュー編集部

家族が亡くなった後は、葬儀の準備と並行して、役所への届出や年金、相続、税の手続きが続きます。故人の住まいの片付けも気にかかりますが、手続きには期限があり、片付けを先に進めると、手続きに必要な書類を失ったり、相続の判断に影響したりするおそれがあります。

この記事では、e-Gov法令検索、国税庁、日本年金機構、法務省、裁判所の公式情報をもとに、期限のある主な手続きを早い順に整理し、遺品整理をどの段階で始めればよいかを解説します。個別の判断は、市区町村の窓口、税務署、弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご確認ください。

この記事の要点

  • 死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内、年金の死亡届は10日(国民年金は14日)以内が期限(マイナンバー収録者は年金の死亡届が原則不要)
  • 相続の承認・放棄は3か月以内、準確定申告は4か月以内、相続税の申告は10か月以内、相続登記は3年以内
  • 遺品整理には法律上の期限がなく、家財の処分は相続の方針が決まってから進めるのが基本
  • 最初の段階では、片付けより先に書類と遺言書を探して一か所に集める

1手続きと遺品整理の関係

手続きと遺品整理の順番を考える前に、両者がどのように関わるのかを確認しておいてください。

手続きには法律で期限が定められたものがあり、遺品整理より先に進める

家族が亡くなると、死亡届や年金の届出、相続の承認・放棄の判断、税の申告など、期限が定められた手続きが続きます。期限の早いものは死亡を知った日から7日以内と短く、遺品整理に時間を取られているうちに期限が迫ることがあります。遺品整理には法律上の期限がないため、まず期限のある手続きの予定を立て、そのうえで片付けの時期を決める順番で進めてください。

相続の判断が済む前の片付けは、相続を承認したとみなされるおそれがある

民法921条は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認(財産も債務もすべて受け継ぐこと)をしたものとみなすと定めています。故人に借金があるかもしれない場合など、相続放棄を考える可能性があるうちに家財を捨てる・売る・譲ると、放棄できなくなるおそれがあります。民法915条は、相続人は承認または放棄をする前に相続財産の調査ができるとしているため、最初の段階では「片付け」ではなく「調べて記録する」ことを目的にしてください。

書類探しは早めに、家財の処分は相続の方針が決まってから

手続きの多くは、故人の年金証書、通帳、保険証券、不動産の権利証や固定資産税の通知書、確定申告の控えなどの書類を必要とします。これらは遺品整理の途中で見つかることが多く、誤って処分すると手続きが滞ります。故人の住まいに入ったら、まず書類を探して一か所に集め、家財の処分は相続の方針が決まってから進めると、手続きと片付けの両方を無理なく進められます。

2期限のある主な手続きの一覧

法令と公的機関の案内で期限を確認できた主な手続きを、期限の早い順にまとめました。故人の状況によっては不要な手続きもあります。

期限手続き内容・窓口根拠
7日以内死亡届届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡したときは3か月以内)。死亡地、故人の本籍地、届出人の所在地のいずれかの市区町村へ。診断書または検案書を添付戸籍法86条・87条・88条・25条
死亡届の受理後火葬許可火葬には市区町村長の許可が必要で、死亡届を受理した市区町村長が許可する。火葬は原則として死亡後24時間を経過した後墓地、埋葬等に関する法律3条・5条
10日以内(国民年金は14日以内)年金受給権者死亡届年金を受けていた方が亡くなった場合。日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は原則不要(未支給年金の請求などは必要)。年金事務所または年金相談センターへ日本年金機構
14日以内世帯主の変更の届出世帯または世帯主に変更があった方(政令で定める者を除く)は、変更があった日から14日以内に市区町村へ届け出る住民基本台帳法25条
遅滞なく遺言書の検認自筆の遺言書の保管者または発見した相続人は、家庭裁判所に検認を請求する。公正証書遺言と、法務局に保管されている自筆証書遺言は検認不要民法1004条・遺言書保管法11条・裁判所
3か月以内相続の承認・放棄自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを選ぶ。家庭裁判所に期間の伸長を請求できる民法915条・裁判所
4か月以内準確定申告故人に申告が必要な所得があった場合、相続人が1月1日から死亡日までの所得を、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告・納税する国税庁 タックスアンサーNo.2022
10か月以内相続税の申告遺産の額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合など。被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内国税庁 タックスアンサーNo.4205・No.4152
3年以内相続登記不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内。正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料の対象。令和6年4月1日より前の相続で未登記のものは令和9年3月31日まで不動産登記法76条の2・164条・法務省

期限の起算日は手続きごとに異なります(死亡の事実を知った日、相続の開始があったことを知った日の翌日など)。健康保険・介護保険の資格喪失、公共料金や各種契約の名義変更・解約は、加入先や自治体によって手続きと期限が異なるため、表には含めていません。

3手続きと遺品整理を進める6ステップ

死亡届と火葬の手続き→年金と住民票まわりの届出→書類と遺言書の確認→相続の承認・放棄の判断→遺品整理と形見分け→税と登記の手続き、の順に進めます。

01亡くなった直後から7日以内に、死亡届と火葬の手続きを済ませる

医師から死亡診断書(事故などの場合は死体検案書)を受け取り、死亡届を市区町村に提出します。戸籍法86条により、死亡届は死亡の事実を知った日から7日以内に提出する必要があります。届出をする義務がある方の順序は同居の親族、その他の同居者、家主・地主などと定められていますが、同居していない親族なども届け出ることができます(戸籍法87条)。火葬には市区町村長の許可が必要で、葬儀社が届出を代行する場合も、提出期限と火葬の日程を確認しておいてください。

022週間以内を目安に、年金と住民票まわりの届出を確認する

年金を受けていた方が亡くなった場合、日本年金機構の案内では、死亡届が必要な場合は10日(国民年金は14日)以内に提出します。日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は死亡届が原則不要ですが、未支給年金の請求などは必要です。届出が遅れて亡くなった日の翌日以後に年金を受け取った場合は、後日返還が必要になります。世帯主が亡くなって世帯や世帯主に変更があった場合は、住民基本台帳法25条により14日以内に市区町村へ届け出ます。健康保険や介護保険の資格喪失の手続きは、加入していた制度や自治体によって異なるため、市区町村の窓口でご確認ください。

03故人の住まいで書類と遺言書を探し、一か所に集める

手続きに必要な書類と、財産・債務の手がかりになる書類を探します。通帳、キャッシュカード、年金証書、保険証券、借入の契約書や督促状、クレジットカードの明細、不動産の権利証、固定資産税の通知書、確定申告の控えなどが対象です。この段階では家財を処分せず、書類だけを一か所にまとめます。自筆の遺言書が見つかった場合は、民法1004条により、遅滞なく家庭裁判所に検認を請求します。封印のある遺言書は家庭裁判所で開封するため、その場で開けないでください。

043か月以内に、相続を承認するか放棄するかを決める

民法915条により、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを選ぶ必要があります。期間内に判断できない場合は、家庭裁判所に期間の伸長を請求できます。期間内に限定承認も放棄もしなかった場合は、単純承認をしたものとみなされます(民法921条)。故人の財産と債務の全体が分からない場合や、借金がある可能性がある場合は、片付けより先に弁護士・司法書士などの専門家や法テラスに相談してください。

05相続の方針が決まってから、遺品整理と形見分けを進める

相続することが決まったら、遺品整理と形見分けを具体的に進めます。相続人が複数いる場合は、誰が何を受け取るか、処分してよい物は何かを相続人の間で確認し、書面やメモに残してから作業に入ると、後の行き違いを防げます。賃貸住宅の場合は、管理会社と明け渡しの期日を調整し、その期日から逆算して片付けの予定を立ててください。相続放棄をした場合でも、放棄の時に相続財産を現に占有している方には保存の義務があるため(民法940条)、家財の扱いは専門家の助言に沿って進めてください。

064か月・10か月・3年の期限に向けて、税と登記の手続きを進める

国税庁の案内では、故人に申告が必要な所得があった場合、相続人は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に準確定申告と納税を行います。遺産の額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合などは、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告が必要です。不動産を相続した場合は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請します(不動産登記法76条の2)。遺品整理で見つかった書類は、これらの手続きが済むまで保管してください。

相続放棄を考えている場合の家財の扱いは相続放棄を考えているときの遺品整理の注意点、賃貸住宅の解約と明け渡しは亡くなった家族の賃貸住宅の解約・明け渡しで解説しています。故人のスマートフォンやネット上の契約はデジタル遺品の整理方法をご覧ください。

4遺品整理を始める時期の考え方

遺品整理には法律上の期限がないため、始める時期は、期限のある手続きと相続の方針から逆算して決めます。死亡届や年金の届出が済み、書類を集め終えた段階では、まだ家財の処分には進まず、相続を承認するか放棄するかを決めることを優先してください。相続の方針が決まった後は、賃貸住宅の明け渡しの期日、相続人が集まれる日程、四十九日などの法要の予定など、家族の事情に合わせて時期を決めることができます。

相続することに決まった後の遺品整理の具体的な手順は遺品整理の進め方、形見分けの時期と渡し方は遺品整理と形見分けの進め方、持ち家を相続した場合の片付けは相続した家の片付けで解説しています。

5避けるべき4つの行動

葬儀が済んですぐに、家財をまとめて処分してしまう

葬儀の後、親族が集まっているうちに片付けを済ませたいと考えることがあります。しかし、相続の方針が決まる前に家財を処分すると、相続を承認したとみなされるおそれがあるほか、手続きに必要な書類まで一緒に処分してしまうことがあります。親族が集まる機会は、片付けではなく、相続人の確認や書類の所在、今後の予定を共有する場として使ってください。

郵便物を確認しないまま捨てる

故人宛ての郵便物には、年金や保険、税金、借入などの手続きに関わる通知が含まれていることがあります。死亡後もしばらくは郵便物が届き続けるため、開封して内容を確認し、手続きに関わる物は書類と同じ場所にまとめて保管してください。財産や債務の手がかりが郵便物から見つかることもあります。

期限の短い手続きを後回しにして、片付けを優先する

遺品整理には法律上の期限がありませんが、死亡届は7日以内、相続の承認・放棄は3か月以内、準確定申告は4か月以内と、手続きには期限があります。片付けの作業に追われて期限を過ぎると、相続放棄ができなくなるなど、取り返しのつかない結果につながることがあります。片付けの予定を立てる前に、期限のある手続きの日程を先に決めてください。

故人の預金を引き出して、片付けの費用に充てる

故人の口座から預金を引き出して片付けや業者の費用に充てると、相続財産に手を付けることになり、相続の判断に影響するおそれがあります。どのような支払いであれば問題にならないかは個別の事情によるため、当サイトでは断定しません。引き出す前に専門家へ相談し、支払いが生じた場合は領収書とともに記録を残してください。

6業者への依頼を検討する時期

遺品整理業者や不用品回収業者への依頼は、相続の方針が決まり、処分してよい物の範囲が相続人の間で確認できてから検討してください。次のような状況であれば、業者への依頼が選択肢になります。

依頼する際は、残しておく書類や形見分けする品を先に取り分け、作業範囲と処分してよい物を書面で確認してください。廃棄物の扱いに必要な許可を確認できる業者を選び、作業前の見積もりで総額を確定させることも大切です。料金は物量・作業内容・地域により異なるため、複数社を比較すると判断しやすくなります。遺品整理の依頼先はみんなの遺品整理やくらしのマーケットで比較できます。サービスの内容は遺品整理サービスの解説をご覧ください。

依頼先の業者を検討する際は、編集部が特徴・口コミを比較したランキングと費用相場のページもご参照ください。

7よくある質問

Q. 遺品整理はいつから始めるのがよいですか?

A. 遺品整理には法律上の期限はありません。ただし、相続の方針が決まる前に家財を処分すると、民法921条により相続を承認したとみなされるおそれがあるため、家財の処分は相続を承認するか放棄するかを決めてから進めるのが基本です。それまでの間は、手続きに必要な書類を探して保管し、家の中の状態を写真などで記録しておいてください。賃貸住宅で明け渡しの期日がある場合は、管理会社と期日を調整したうえで予定を立ててください。

Q. 死亡届は誰が、どこに出せばよいですか?

A. 戸籍法87条は、死亡届を出す義務がある方の順序を、同居の親族、その他の同居者、家主・地主または家屋・土地の管理人と定めており、同居していない親族なども届け出ることができます。提出先は、死亡地、故人の本籍地、届出人の所在地のいずれかの市区町村です(戸籍法88条・25条)。期限は死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡したときは3か月以内)で、診断書または検案書を添付します。

Q. 年金の死亡届は必ず出す必要がありますか?

A. 日本年金機構の案内では、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は、年金受給権者死亡届が原則不要です。ただし、未支給年金の請求などの手続きは必要です。死亡届が必要な場合は、10日(国民年金は14日)以内に、年金事務所または年金相談センターに提出します。障害基礎年金・遺族基礎年金のみを受けていた方の場合は、市区町村の窓口が提出先です。

Q. 遺品整理の途中で遺言書が見つかりました。どうすればよいですか?

A. 自筆の遺言書の場合、民法1004条により、遺言書の保管者や発見した相続人は、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求する必要があります。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立ち会いのもとで開封するため、その場で開けないでください。公正証書による遺言と、法務局に保管されている自筆証書遺言は検認が不要です。遺言の内容によって形見分けや処分の進め方が変わるため、遺品整理はいったん止めてください。

Q. 準確定申告と相続税の申告は、誰でも必要ですか?

A. どちらも全員に必要な手続きではありません。準確定申告は、故人に申告が必要な所得があった場合に、相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に行います。相続税の申告は、遺産の額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合などに、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行います。該当するかどうかは、税務署や税理士にご確認ください。

8出典・参考にした公的情報

本記事は一般的な知識の提供を目的としたものであり、法律・税務上の助言ではありません。手続きの要否・期限・必要書類は、故人の状況や自治体によって異なります。市区町村の窓口、年金事務所、税務署、家庭裁判所、法務局の案内をご確認のうえ、個別の判断は弁護士・司法書士・税理士などの専門家にご相談ください。